キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

従順

良くも悪くも言葉に対して従順だ。
すぐお守りみたいに信じる。
疑わず、その通りにしようとする。
その言葉通りになっていく。

そして、体や心に違和感を感じて「あれ、おかしいな。」
と気づき始める。
糸をたぐって、穴に手や顔を突っ込み、やめる、しないという決断へのカウントダウンをしながら着地点を見定めるように自分の姿を探す。

4月9日に仕事に行って以来、初めて車で外出した。
思った以上に、いつも以上に車も人も多いのではないかと思ったほど久しぶりに外の世界を見たというかんじ。
宇治川の天ケ瀬ダムの下にあるつり橋のあたりは架け替えの工事も終わって新緑もきれいだろうとドライブに行ったが、すごい路駐と人の多さに車を止めることもできなかった。
また、別の日に来よう。
「家にいよう」
その言葉通りやはり、今はまだ家にいる。
今は、まだその時だ。
自分の感覚に従順でいよう。

3か月目

小学生、中学生の子らが3月から外出自粛を始めて、
巣ごもり生活を満喫している。

2か月目に入った4月はもうこの生活に慣れたもので
登校するような時間には起きてくることはできないが、
時間を決めて机に向かうことや、ダンスをして体を動かしたり、
楽器を鳴らしたり、台所に立つことが増えたり、
仕事に行くことができない私も含めてお互いに干渉しすぎずに
お互いがいい気分でいられるように言葉や間合いを図りながらいた。

3か月目になる5月、学校からも、塾からもオンライン授業の準備を促されている。
9月入学新学期の話も報道で見た。
思いがけずに得たこの止まった時間。
だけれども、消費し続けている。
いろんなものを。
外との直のつながりを断っている今だけれど、
より外を意識する。
内に向かうと、とても一瞬ではかない感覚ばかりで味わう傍から溶けて行ってしまう。
どんどんスピリチュアルでファンタジーな浮世離れしていってしまう逃避。

WE STAY HOME

子供たちが休校になて2か月目に入っている。
最小限の買い物に、家族の誰か一人が出かける。
家と外、家族とそれ以外の人、境界をはっきり感じる。

長女中学3年生は、春休みや休校処置の場合大変だ~~と
2月末には片っ端から通学可能な塾の体験入学に行かせまくって居場所と
すべきことを与えた。宿題は毎回てんこ盛り。
0時就寝10時起床、睡眠時間も十分、学校の集団生活もなし、
好きなイラストを描き、音楽を聴き、ストレスレスの日々。
ひきこもり生活を満喫中。
長女のニキビは完全に消滅した。

次女は5年生。
YouTubeを参考に工夫を重ねて、彼女の机の上はスライムのラボとなっている。
家の前をキャスターボードでくねくねと滑りながら少しづつ上達している。
学校へ行っているより日焼けが進んでいる。

一日中パジャマでいないで着替えること。
それぞれ決まった時間に学習時間を設けること。
平日は、ゲーム、YouTube、ネットサーフィンなど2時間以内。
土日祝日は3時間以内。
厳しいのか緩いのかわからない家庭内の約束を
厳しいのか緩いのかわからない管理をしている。

3月は、通常のパートのシフトに沿って出勤し家庭内の行動を見ないで済む時間が多くてほったらかしだった。
4月に入ってシフトの出勤時間、日数が減り、緊急事態宣言であと3週間私も含めて在宅する。
家庭内の仕事が減るわけでもなし、
時間があるので副菜のおばんざいも一品二品増やすこともできるし、
おやつを作ることも、一緒に作ることもできる。
いつもの出かけないバージョンの日曜日が、毎日。
それぞれの時間を邪魔しないように、
それぞれに機嫌よく過ごすように気を使いながら。

私は20年近く離れていた写生をした。
楽しくて楽しくて仕方がない。
春でよかった。
行きたかった事したかった事もあるけれど、
今は家にいる。
みんなでいる、みんなが家にいる。

今日で8年

次女10歳。
先日の彼女の誕生日、いつもは家族の誰かの誕生日には仕事を入れないのだけれど
その日は帰りが8時をまわってしまった。
帰ると
「ママー、生まれて10歳と2時間ー、誕生日ー!!」と、自分が生まれたことをすごく喜んでいる。
何日も前から、誕生日の次の日からでも一年後を楽しみに楽しみにしているような子。

次女が生まれて10歳と10日、
あの家から逃げ出して8年目の今日。
最後に用意した夕食の献立は何だっただろうか、もう覚えていない。
あの日から今まで8年間、献立も決めることはないし、作ってはいない。
同居する母や妹が夕飯の台所に立つ。
私は下ごしらえやアシスタント程度。
何年いても私の台所じゃない。

寝間の準備をしながら、次女の寝入りの時間を一緒に過ごす。
次女のお布団に入ってあべこべに次女に上布団をかけてもらって、
お布団をかけてもらうってこんなに気持ちいいんや~と、初めてのように気持ちよかった。
危うく久しぶりに添い寝落ちしそうになった。
次女の体に腕を回して抱きつきながら、次女は日課の本を読んでいる。
「僕らの七日間戦争」角川文庫。
8年。
次女はこんなにも大きくなったけど、私の時間は実は全然進んでいない。

いない時間

晴天の早朝、長女の3泊4日のスキー合宿のワクワクを見送った後、
洗濯日和だというので布団からシーツをすべてひっ剥がし、
パジャマやら部屋着やら、制服のブレザーやスカート、クッションや様々な布製品を洗濯していく。
そうやって、帰ってきて、新しい日を始められるように。

今週はお弁当を作らなくていいので、ちょっとゆっくりした静かな朝がある。
「明日の朝何食べたい?」
なんて次女と相談し、明日の予定を確認し合い、いつもとちがう夜の時間の間もあって
1人分いないという時間が際立っている。