キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

春に向かって

2021年が始まって、ゆっくり前進していたはずがまた躓いて、
そろりそろりと立ち上がりながらじわりじわりと安全確認しながら進むしかない。
変更のない範囲で、日程は組まれた通り、粛々とこなされ、
その日に向かっていくしかない。

今年は年女で48になる。
こんな時世だけれど、私は今が一番体調がいい。
やっと動ける私になってきたといってもいい。
コロナ禍で一時みんなで止まったかのように過ごした世界中に
追いついたような錯覚をしているだけなのだけれど、
動けなかった時期を、この時を待つかのように私にとっては準備の時間だったのだと思うことにした。
いつか立てた人生計画の中でも、この春は私にとって解放されるイメージだった。
すべてが全く違っているけれど、この春いる場所は計画通りなはず。
狂っていたリズムを取り戻せ、春。

闇の共有

また長い時間フリーズしてしまった。

長い時間かけて起こるべきことがイベントとして日常の中に起こり、
家族の闇を露出させ、
闇の形を記憶をたどりながら
同じ場所にいた者同士で共有することができることは
とても私を助けた。

闇に慣れきっていること、他者にその匂いに気づかれるのを怖がっている。
何より自分自身を怖いと思う。

ムカデにかまれた時

ムカデにかまれた。
初めてだった。
右の薬指の先っちょを。
きっと、2度目は死ぬかもしれないと思った。

検索したら45度くらいのお湯をかけ流すと書いてあったらしい。
そうしている間も痺れと、熱さと右腕から肩、右胸のジンジンする刺すような痛みと
気道や喉の浅く狭まっていく感じや汗の染み出て流れていく感じや耳元で聞こえる拍動がもう次の2度目にかまれたらだめかもしれないと思いながら、
その体に起こっている毒の巡りを十分に堪能した。

そうしている間に次女10歳がPCで毒の対処法などを検索しているのをみて
なんかもう彼女たちは大丈夫かな、大きくなったなあ・・・なんて思ったりした。

「ママ、ムカデかまれたンどこかわからん。」
と、太い私の指を見ながら言う憎たらしさも。
ちゃんと腫れてるのに。

でも、もう2か月にもなるんやなあ。と。

死を思う

彼がこの世界からいなくなってからもう2か月がたってしまったんだなと数えてしまう。
終戦の日に放送されたドラマもやっぱりオンタイムでは観れなくて、
木曜日の番組も録画したものを少し時間をおいてから観た。
もうこの世界にはいないのだけれど、もうそれ以上の彼を見ることができないのだけれど、永遠に彼のままだと思ったりした。

死というものをあれ以来頻繁に考えている。
消えてなくなりたいとは思うが、死にたいとは思ったことはなかった。
どんな死も必ず一人に付き一回は必ず迎えることだ。
そう迎えるものだ、向かっているものだと思っている。
だけど死を選ぶ、死に向かってさ迷っているというタイミングが彼には何度もあったと思う。
きっと、その度に踏みとどまらせたり、助けられたり、ああ今じゃないと思わせるよな人や、言葉や、景色や、音楽やいろんなものがこの世界にはあったはずなんだけど、
あの日のあの時にはたまたま何もなくって死にさらわれたんだと思う。

彼は肉体をなくしてしまった。
だからもう、会えない。

私は肉体だけになってしまった。
私を迎えには来てくれなかった。
だから、生きてる。
わたしの元の魂はどんなだったか思い出しながらそのかけらの
いるものといらないものと分別しながら死を迎えるまで生きる。

インスタのネガ  その一

インスタのネガその一。

懐かしい友が、嫁ぎ先の地で自宅パン教室をしているというインスタを見て自粛期間中せっせとパンを焼いた。
私も時間ができたし、子らは私のパンが好きだ。
パンを発酵させてその柔らかな生地などその感触を楽しむ手をわすれない。
焼きあがっていくオーブンの中で膨らみ色づく様などのわくわくも。

私がパンを焼くようになったのは、付き合い始めたころの元夫の
「これから住む島にはパン屋がないのだ」と「君がパンを焼いてくれたら」・・・・。
もうすぐその気になって、妄想が走り出してパン教室を申し込み、パン屋の早朝バイトでサンドイッチやフィリング、簡単な成型までこなすまでになった。
移り住んで、やっとオーブンを買えて繁忙期には毎日ベーグルを何十個と焼いた。
子たちにはシフォンケーキを焼いた。
バターロールピタパンフォカッチャはよく焼いたなあ。

別居してからはずいぶん長い間パンも、ケーキも、お菓子も作らなくなった。
あの場所での生活が思い出になりだしてからぽつりぽつりと作ってみては子らが喜ぶのを見てはまた苦しくなって作れなくなった。
その繰り返しで、この自粛期間中まめまめしくパンやケーキやお菓子を作ったのは
友のインスタに触発されたに違いなかった。
2.5㎏の強力粉を使い切るまでせっせと焼いてはみたが、
気づいてしまった。

私それほどパンが好きじゃない。

パンを焼いて喜ばせたい人がいたからパンを焼き始めたってこと。
パンを焼いて子たちも喜ばせてはやりたいと思うけれど、
なんかちょっとしばらくは焼きたくないかな。
思い出しちゃったから。
秋が来るまでもうしばらくは焼かない。
私のオーブンは他人のものになってしまっているのだし。
糖質制限もしたい。