キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

器用なつま先

ただ、行儀の悪いだけかもしれないが、
私のつま先は働き者だ。
特に掃除機をかけているとき。
掃除機を近くに寄せるのも、
扉を開け閉めするのも、
カーテンを引くのも、
椅子を寄せたり遠ざけたりするのも、
器用に無意識のうちにつま先があっという間に掃除機のヘッドが流れるように吸い続けるのを助けるために先回りしてどんどん仕事をしていく。

ただ、障子やふすまなどの建具類は、
力の加減やそのスピードの調節も、
つま先で引っ掛けたりつまんだりするには難度が高い。
そもそも日本家屋に使われている建具を開け閉めする所作はやはり両の手が必要なのだ。
そこはいくら何でも手を使うよ。

でも、つま先よ、
無意識の仕事人つま先よ、
働きすぎだ。
今日は思いがけず、お休みだったのだから、
丁寧に心穏やかに無心に、邪気をも吸い尽くすように掃除機もかけたかった。
その気持ちと、時間の余裕が気づかせた、無意識の仕事人、器用なつま先。