キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

新しいことに慣れること

台所のリフォームが終わった。
だからといって、すぐ使い勝手が良く感じたりスムーズに料理ができるわけじゃない。
まず、その高さや大きさや身体感覚が伴わないうちは、
新品の、すました、居心地の悪そうなキッチンの造作のすべてとのにらめっこ、
おっかなびっくりの気の使い合いなんだ。

いつもなら、台所の先にある浴室の脱衣所から洗濯籠を運び出す時も
あっちこっちにぶつけても、床に乱暴にドスンと置くのも平気だったけど、
今は、両手でしっかり抱えてどこにもぶつけないように、床にも音を立てずにおく。

次女の台所仕事のお手伝い用足台も
つま先に引っ掛けて、ダダダ、ダダ!と引きずって移動させていた物も、
ふたつの手で捧げ持つように置いてやっている。

未だに収納におさまり切れないカトラリー類を
あっちこっちと探し回り、どこにどの鍋をしまったか何度も開け閉めし、
お蔵入りしていたお気に入りの食器類を
使える機会を得たりと収納場所のディスプレイに悩む。

「畳と女房は新しいほうがいい。」
というが、初めそろりそろりと日本舞踊家かというように大事に丁寧な足運びをしていた畳の座敷も、
あっという間に逆立ちや側転、馬跳びの練習の場所になってしまっているし、
新しい女房に、いつかの古女房にかけた苦労の罪滅ぼしのように代わりに優しくしたところで
また、すべてがいつもの当たり前になって行く。
この台所も、そうやって、家族の場所になじんでいく。
ジュウジュウ、コトコト、グツグツ、トントンといい音と匂いをさせて。

ガスをつけると、それに合わせて勝手にライトと換気扇が作動する。
今、この機能がさりげなく優しいなあと、気にいっている。

システムキッチンのレイアウトを考える時、
吊戸棚を極力減らした。
踏み台に上ってまで取り出すほどの道具はいらないと、
断捨離、または終活かというほどの決断だったが
やはり道具が入り切らなかった。悩む。
食器も・・・

リフォームは終わったばかりだが、
もし、いつか、私だけの台所を作れたら・・・と、もう妄想が始まっている。
妄想の逃避の前に
片づけなくては。
が、うれしいことに年末の台所の大掃除は今年は頑張らなくていいなあ。