キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

似てないを増やす

なぜだかこの季節になると毎年「となりのトトロ」のブームがやってくる。
さつきちゃんやめいちゃんが引っ越してくる季節で、
緑美しい季節、洗濯板で元気に洗い上げる庭の空気。
田植え休みで今ではありえない乗り方のお父さんの運転する自転車で
お母さんのお見舞いに行く。

お母さんの入院する病室で
さつきちゃんがお母さんに髪をとかしてもらう。
このシーンのあたりが私の毎回の泣き所で
一緒に見ている子らはそわそわと私の目からこぼれるものを
今か今かとチラチラと確認する。

お母さんが元気に帰ってくるまでしっかりしなくちゃと
自分の身支度や恰好に手や時間をかけないでよいように
髪を短く切りそろえているさつきちゃんに
「短すぎない?」
と、自分のブラシでさつきちゃんの髪をなでるお母さん。
「うううん、このほうがすき。」
 私もお母さんみたいな髪になる?」と、お母さんの長い黒髪にあこがれて聞く。
「あなたはお母さん似だから。」
と、お母さんに答えてもらえてうれしそうなさつきちゃん。

このシーンを見たら私の「となりのトトロ」は90パーセント見たような感がある。
まだまださつきちゃん目線の私。
うれしくて、切なくて求める感情。

なんだろう・・・

母に似ているところを探す。
似ているところがあってうれしいと感じたことがあるのかないのか探してみても
体のそこかしこに似ているところは見つけることはできるのだけれど、
ただあるという感覚だけだ。
私という入れ物に母という薄い衣を一枚まとっているような感覚や、
母という貝のお腹の中で、核の私が増殖して
今だに出たり入ったりして
「あれ?似てるの?こうなるの?」
なんて言ってる感じ。

似てないところ、違っているところを探して、増やしていっている。
まだまだ、今、ここ、これから。