キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

母と季節

しばらく、母の糠床を毎日かき回すこととなった。
手を沈めて、抜き出した手が一瞬で、一段、白くなったように見える。
一通りかき混ぜて表面を平らに整えた時には、
ぬかの油分と発酵した微生物のやわらかい膜で
しっとりと丸くなったような気さえする手。

夏野菜をむかえるために新しく作っている最中の糠床。
まだ、くず野菜をしこんでいるところ。

畑の小梅も色づいて落ち出している。
梅シロップや梅ジャム作りで
梅のさわやかな甘酸っぱいま~るいにおいでいっぱい。

季節のものを食べることは忙しい。
朝夕の水やり、伸びていく茎の支柱を立て、脇芽を摘みとり、
日々の菜を摘む。

スナップエンドウもいっぺんに太っていく。
葉影に見落としたエンドウは、グリーンピースかというほど太る。
毎食、鮮やかすぎる色の茹でられたエンドウが並ぶ。

そろそろ栄養失調気味の玉ねぎも収穫しなくちゃ。

くらくらするような香りを振りまいていたレモンの花の後には
うまく受粉ができたのか、小さなレモンの赤ちゃんが付いている。

花盛りだった庭も終盤。
百合の花も、アジサイも色づき始めた。
南天の白い花が満開。もう、冬の季節の赤い実をつける準備をしている。
一瞬冷たい空気を思い出す。

家の敷地内で、季節を巡らせ完結してしまいそうな母の生活。