キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

ギュッ

夜、その日の用事を全て済ませて私の就寝。
座敷に3枚並べた布団。
私、次女、長女。
乱れた掛布団をかけなおしてやりながら次女のそばに横になる。

「ちょっとギュッとして」

と声をかけると寝ぼけたまま、何も言わずにギュッと抱きしめてくれる。
熱い体温。
いつもかわらず、眠るときにほしいもの。
ギュッと。
眠る前は甘えたいんだよママは。

電話を受ける事

いくつかの仕事を掛け持ちしていて、
その場所、その時で、名乗る名前や、屋号は違う。
電話を取る一瞬、今がいつで、今どこで、何者として電話に出るのか自分を確認してから出る。

これからどんどん年をとって、
いつか、いろんなことを忘れて、
自分や、子の名前も顔も、
いろんなことを忘れていったとしても、
毎日何度も電話口で名乗っていたあの屋号は記憶として忘れて行っても
口は忘れずに口をついて出て来るのではないかと、怖い。

朝と長女

長女中学1年生。朝が起きれない。
通常の学校があるときは、基本起こさない。
あなたの責任。
もちろんクラブ活動の時も起こさない。
自由活動、自主活動。

だけど、休みの日は起こす。
朝食の時間や、洗濯や、布団干しや、出かけるならすべてに影響する。
でも、起こすという時間の中で、起こすという行為がもうすでに気分を悪くさせる。
お互いに。
一度などはふすまを蹴破られた。
テープで補修されてはいるが、今でも頭ぐらいの穴が開いたままだ。
もう大丈夫と思えたら、張りなおしたいと思っているが
この請求書は必ず長女にあてるつもりだ。
きっちり責任を取ってもらうつもりだ。

長女は小さな乳児の頃から寝つきも寝起きも悪かった。
いくら添い寝添い乳で寝かしつけても、ちょっと離れると大泣きした。
台所にたまった食器や仕事の道具のかたずけを残したまま。
朝はできるだけ長く寝ていてほしかった。
朝の仕事の準備が終わって、朝食の準備が整い、せめて洗濯の一回目が干し終わるまで。
また機嫌悪く目が覚めて、ずっとだっこの時間が続くのだから。

できれば、ずっと目覚めないでいてほしいと思うことだってある。
いないということにできたらどんなにいいか。

今、中間試験の前でクラブもない。
土曜は、起こして出掛けたのに、私が仕事に出掛けた後も昼過ぎまで寝て、
昼からは田楽の練習会に行ったというから勉強はしていない。
今日は、運動会の代休で次女は家で退屈しただろうが、
見張らないと今日も一日試験勉強しないだろうと監視した。
朝はまた、息切れと動悸で気分が悪くなるほど布団から引きずり出して起こした。
これだけで、朝から険悪な空気が流れている。
試験勉強に響いても、起こさず、自己責任、自主性に任せたほうがいいのだろうと思ったりする。
今日みたいな日は、次女と楽しく出かけてもよかったのだろうと。

そして、宣言する。また明日からのいつもの登校する平日はクラブの朝練があろうと、試験当日でろうと起こさない。と。
いやだというが起こさない。
暴れたっていい、遅刻したっていい。
耳障りな目覚ましもこちらの我慢の限界が来たら電池を抜くし、電源だって切る。
私たちにも今日が始まる。
私たちの朝まで台無しにされたくない。

 

朝、長女が暴れることなく、朝をコントロールできるようになったらふすまを張り替えようと思っている。

耳鳴り

次女が耳鳴りがするという。
ずっとしてるという。
心配になって、受診すると、
厄介な症状だという。

耳鳴りも、外の他の者にはわからない症状。
どんな耳鳴り、どんな音で、どんな大きさで・・・
いつものように大の字になって寝ている次女の耳に耳を寄せて聞こえない音を聞いてみる。

ステンド硝子

9月の末で朝ドラ「半分青い」が終わった。
ラストが予想外でと言っていた出演者の言葉に、
え??予想通りやったけど。って思いながら。


今月また新しい朝ドラ「まんぷく」が始まって、
ドリカムの歌声の
~~丸まった背中に  もらい泣き~~
のフレーズに自分のだらけた姿勢にピッと背筋を伸ばす。


もう何日も経つのに、前の朝ドラに出てきた原田知世が演じてた和子さんの寝室のステンドグラスがはめ込まれた建具がいつまでも離れない。
いつか家を持てたら、家の所々に私もきれいな色の硝子をはめ込んで色の中で暮らしたいなと思って集めていた板ガラスが忘れられずに心が離れない。
執着というものだね。
あの家だった場所の廊下、冷蔵庫を置いてしまって持ち出すことが出来なかった奥の隙間においていた。
取り壊しの時にも気づかれずに粉々にされるのか。
時々、心の中の穴をのぞきこんでその色ガラスを万華鏡のように懐かしみ、悲しくなったりいつまでもするのかなあ。