夏椿とトカゲ
玄関先の夏椿が咲き始めた。
沙羅の花の無常。
雨の後のひんやりした風と透明な空の日には余計にそう思う。
冬、この樹の枝の股にトカゲのとてもきれいなミイラを見つけた。
うろこ状に皮膚が凍えたように整然と乾いていて、
形よくしなった尻尾やパッと開いた指先までも美しかった。
ブローチにしたいくらい。
これが百舌鳥のはやにえというものか。
スズメ目モズ科
様々な(百の鳥)の鳴き声をまねるのが上手で百舌鳥と書く。
動物食でとらえた獲物を樹の枝に突き刺したり股にはさむ習性があって
繁殖期の冬期に、このはやにえをたくさん食べて歌を上手に歌えたオスほどつがい相手を獲得することが出来る。
気づいたらもうなくなっていたトカゲのミイラ。
歌う栄養源になった。
夏椿の蕾がたくさんついている。
確かに咲いて、あっけなくその樹の足元に落ちていく。
その様に骨の内側からこそばいような震えを感じる。