キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

雨の強迫

今朝から嫌な空だった。
傘を持って行こうか、自転車で仕事へ行くのはやめておこうか、
次女の上靴は乾くだろうか、
雨で足元が悪くてキャンセルが多かったら・・・と思いながら。
土曜の朝、皆がゆっくり朝ご飯を食べている平日とは違った時間が流れている。
その中で仕事へ行く朝の準備は調子が狂う。
バタバタして自転車でしか間に合わん!!
と、いっぱいにペダルをこいでいく。

風は強くて、雨雲かなという黒い雲も吹き流して日が照ったりして日昼が過ぎる。
あと一時間で終業時間という頃にいよいよと黒い空が迫ってくる。
店のタブレットアメダスのレーダー画像が真っ赤なのを見ていつ振り出すのかと心の中でカウントダウンが始まる。
私の担当のお客様を終えた。
もう、我慢できなくなって30分の早退を願い出てタイムカードを押す。
エプロンを取り、帰り支度をして、店を出ようとすると雨。
ザ―――っと
ザーーっといつ止むとも、もっとひどく止むともわからないで、
もう今、帰らないと歩けないほどの土砂降りになるんじゃないかと最悪のことしか考えられなくなって自転車を置いて、傘を借りて雨の中帰る。
なのに、家まであと半分の距離に来たころには雨がやみ始め、
家に着くころには雨が止もうとしていた。
どうしてあんな風に脅迫されるようにせっぱ詰まって帰ろうとしたのか。
定時まで仕事をし、自転車をこいで普通に帰れたものを。

あの時もそうだ。
長女は保育園を卒園した。
あと何日で3月が終わり、4月になれば小学校入学。
入学式の日には集落の人や知り合いなんかが家へ祝いに集まってくる。
祝いの食事や席を準備してここで子供を育て生きていく親の姿を子にも、皆にも見せなくてはいけない。
私たちはここで一緒にずっと、生きていけるのか、行くのか。
2人でこなして、乗り越えていけるのか。
誰も助けてくれる人を、私たちは得ることが出来なかったのに。
雨風をしのぎ、家の奥で固まって瞬間風速何十mという台風をやり過ごすこととは違う。
その入学式のその祝いだけでもなんとかやり過ごしてしのげたら、何とかなったかもしれないが、その雨宿りして待つということもできなかったのだなあ。
今日のように、雨の中飛び出して逃げたのだから。

私は、全然変わっていない。