キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

春の彼岸

暑さ寒さも彼岸まで

とはよく言ったなあ。と、暖かな春にまだ冬の体が
そろりそろりと緩もかな、どうしょうかなと、
まだこわばっている。

お彼岸、お盆、命日にお墓に参る。
あと何年、70を超えた母たち姉妹がここに参り守っていけるのか数え想像しながら
急な坂を上りながら見晴らしのいいそこへ登っていく。
遠くの山も、空も、見下ろす集落も花粉か黄砂かで黄白くかすんで
自分たちの周りの空気もそんな色をしているのだろうなと
吸い込む息が体の中の粘膜に薄く層になっていくその様子を想像したりする。

TVの番組で、お墓参りのマナーや作法などを見ている子らが
情報だけじゃなく、見まねで掃除したり、線香をあげる手つきが慣れて、
毎回毎回上手になっている姿が面白い。

夕方、その黄白くかすんだ向こうに綺麗な朱赤の太陽が浮かんでいるのを見て
わあッとうれしくなったりする。

夜、近くのスーパーの前にあるお墓の墓石が
このお彼岸中に磨かれて綺麗になったよ~っていうみたいに
車のライトに
ピカッキラッといつもより光ったりして
線香のにおいがまだ漂っていたりするのは、
なんかいいなあと思ったりする。

私はお墓はいらないよ。
と思っていても、
合掌と、手を合わせた時の心地よさは良くって
あの世の私とこの世の子らとで互いに合掌しあいっこする様を想像したりするのも幸せ。

今年はいろんな人から手作りの牡丹餅のおすそ分けをいただいて
たくさん食べた。
なんだか、春のあんこの方が少しやわらかくてゆるいような気がする。
春ならではかなあ。