あなたがその角を曲がるまで
昨年11月から、宇治市の総合病院Tの産科のサービスでの産後アロマトリートメントの仕事に行っている。
産婦の妊娠期から続くマイナートラブルや、
陣痛出産時の緊張やいきみの筋肉のこわばりを楽に
これから始まる育児や、
母になった自分と向き合っていくことや、
親となっていくことへ夫と向き合っていく不安
生活の中に子育てを組み入れていくことへのシフトチェンジ。
妊娠、出産のお疲れ様と、これから始まる新しい家族との始まりへの応援を込めたサービス。
出産という自分と別のものとして存在する子と分離されたことによって、
始まっていくすべてがこの産院での入院期間中に始まる。
このT病院では、入院期間中の5日ほどの期間の中で、30分の産後の癒しサービス。
私は週に2日午後の時間を担当している。
残念だけれど、私の担当している曜日に受けられる産婦の数は少ない。
宇治にも間違いなく少子化の現実がある。
それともよその産院は盛況なのだろうか。
このT病院にはNICUもあり小児科との連携は万全だ。
でも移転新築されたここは高額かもしれない。
予約を受け、コンサルテーションを含めた1時間ほどを彼女たちと過ごす。
自分自身の出産という人生で超特別な時期に出会い、かわした言葉や、
些細なしぐさや、接触をとても印象深く私は覚えている。
ゆえに、私はできるだけ平常に気を配り、
言葉を選び、彼女らと香りを選び、触れる。
そして、彼女らの波長に近いところを風のように漂う。
そうして、彼女らとの時間を過ごした後、
まだ妊婦の頃と同じ少し腰をそり気味に
子が出てきた股の間を気にしつつ、
小股でゆっくりと歩いていくパジャマ姿の後姿を廊下の角を曲がり切るまで
かならず見送る。
彼女たちにガンバレ~、ガンバレ~と
そして、その姿が曲がり切って見えなくなった後に
必ず見えるその頃の私の後姿を重ねてもう一声、ガンバレ~と込めている。
そして、今書いていながらあんたも頑張ったんやで~と
もっと頑張れたんちゃうか、もっとこうできたんちゃうかと思ってしまう自分に言い聞かせる。