台所
台所のリフォームが始まる。
増改築を繰り返しての30年の年季の入ったお台所。
今、この時期に、という感慨。
変化の時期は、マストなタイミングでやってくる。
必ず、理由があって。
冷凍庫にあって、もう食べる時期を逃してしまった
フレッシュパインの解凍したものを
夜、最後に煮て、ジャムにした。
甘い香り。
いつかを過ごした、東向きの私の台所を懐かしく恋しく思う。
朝日がまぶしくて、
隣家のブーゲンビリアの小さな花がワーワーと話しかけるように窓に迫っていた。
南側の窓は仕事の道具にあふれていて、
その小さなシンクは洗面所も兼ねていた。
真青な私の食器棚はまぶしく光っていた。
カウンターの向こうは生活空間のすべて、
ダイニング、リビング、寝室も兼ねた私のすべてがあった。
新しくなるわが家のキッチンは
また、私のキッチンになることはない。
台所、キッチンってそんな場所。
でも、みんなのキッチンになればいいな。