キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

ぼんぼりの灯り

私のおばあさんが買ってくれた七段飾りのお雛様を飾っている。
子らは毎年着物を着てひなあられを食べて、お道具で遊んで、写真を撮る。
そして、春休み、または旧の暦でお雛様を片づける。
その間、私たちの寝所に使っている和室はお雛様のぼんぼりをつけていたりする。
気持ち悪くも怖くもないが、
その灯りはひときわ私と子らの三人なのだとはっきりさせる。
いつもの保安灯の豆電球の灯りは、あの島で眠っていた時と同じ。
どこにいるのか錯覚してしまうくらい。
その時も、眠りにつく頃は二人の子らと私の三人で
元夫がその時間寝間にいたことはほとんどなくて三人が日常で
今も、夜はその延長のようだ。
だから、お雛様のぼんぼりの灯りも、毛氈の赤で部屋の壁がいつもより赤く見えて、
全く別の次元を生きているとはっきりさせられている。

それにしても、子らが小さくて小さいほど、私の体は疲れてしんどくてつらかった。
午前は元気に動きまわれたが、昼を過ぎるともう息をするのも立つのもつらいほどに疲労困憊していた。
今は仕事をして、家事をして少々の夜更かしも平気なほどなのに。
今が、一番元気かもしれない。
どうしてあの頃あんなに体も動かないほどしんどくて、眠くて、つらかったのだろう。