体の記憶
体に刻まれた記憶や印ほど忘れることなく
確かなものはないと思っている。
身につけた所作、口調、癖、傷、習慣・・
夏の暑さと毎日を疲弊しストレスフルだった夏の毎年を
血尿と下痢を日常としていた。
そこまでして、当たり前と思っていた。
あまりの暑さに、思い出さないようにしている事を体が思い出す。
ただ一度、元夫に殴られてこぶし型に何日も何日も青黒く内出血した右腕。
今になっても、消えてないはずの私の腕に浮かび、ジンジンする。
殴られたのは私が悪い。
もう、限界を超えていた小さな仕事のこまごまがやり切れず、
お客さんが使うものを投げつけて物にあたった。
青黒いその内出血が青紫になり、赤紫になり、黄色く縁どられながら青さを薄めていくまで、元夫に見せつけ、家の外でも隠さずに見せつけるように過ごした。
そのこぶしのカタチをした内出血の代償に小さな一つの仕事の免除を得た。
もっとあっちこっち悲鳴を上げて、分かりやすく壊れればよかった私の体。
「やりきれない」と口に出せなかったのだから。