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キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

「離」し切れない思い

わが家の消灯時間は9時。
子供たち二人とも最近少し守れない。

次女は、「ママ一分だけいて~」
と、枕もとに少し座っているだけで満足して私譲りの睡魔秒速ノックアウト。
のはずが、
「一緒にお布団はいって~」
とぎゅうと、ひっついて来て安心と慰めをお互い確かめ合うように堕ちていく。

長女も、「いいなあ~、ママと一緒に寝て~」
とぎゅうと、ひっついているが、先に眠りに落ちていく私のいびきを聞きながら
なかなか睡魔は、彼女を堕とすことはできない。

そうして眠ったはずの私は、
遠い遠い場所に「離」し切れないもののそばへ飛んで行っている。
一晩中のことなのか、朝方のつかの間の夢なのか、
私は、それを眺め、撫で、傍らに座って頭と体をもたせ掛ける。
いつまでも、眺め、撫でる。
しばらくすると、
私は、それに向かって見えない竜巻のような風を吹き付け、
体当たりし、壁に押し付け、爪を立て、
しまいには渾身の力で壁から引きはがすように床にたたきつける。
音と、衝撃と割れてこっぱ微塵になる様を見て
肩で息をし、喜びに包まれ、ほっとする。
倒れたそれに、また触れる。
つやつやと冷たい感触と、懐かしさと、愛しさ。
これで、私だけのものになった。
あったはずの壁の、ただの壁になったことを確認し、冷たい壁に触れる。
これでいい。

子らの傍らに戻ったときには、
遠い距離を移動したゆえの息切れか、
渾身の力で暴れまわった興奮からか酸欠状態。
体はこわばって、ぎしぎしと音を立てる。

少しずつ息が整い、
体のあちこちをなでて解いていってやる。

何とも変わらず眠る子らを
菩薩のような気持ちで抱きしめ、ぬくもりを感じながら、
あの場所のそれが
いつか私の想いのとおりに私の見えない力によって
本当に押し倒せる日まで毎夜でも行くだろう。


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