キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

なでなで、なでなで

庭に赤とんぼの群れが遊んでいるのを見ると
秋の気配と、子供のころ家族で行った琵琶湖バレイの草原で赤とんぼを追いかけたことを思い出したりする。

今年、初めて日暮の声を聞いた。
日暮が、秋の季語でセミの声だということも初めて知った。

今年の初夏、うっかり蛍を見に行くのを忘れた。
6月の終わりに行ってみたら、季節を間違える蛍はいなかった。

庭の金木犀の枝で、羽化するセミを毎夕探しては羽化の様子を見守った。
羽化した後の抜け殻を集めている次女は毎朝金木犀の枝を見に行った。
羽化に失敗したまま枝先にしがみついていた子も、いつの間にか無くなっていた。

梅雨明け間際に鳴きはじめたミンミンゼミも、ツクツクボウシに代わって、
その鳴き声も聞こえなくなって、
燕の姿も見なくなって、
だんだん影の角度も変わってきていて、
家庭菜園の野菜はもうとっくに旬を過ぎて、
蔓と葉ばっかり元気で、なっているはずの冬瓜が見つけられない。

急に、季節についていけなくなっている気持ちに
なでなでしている。
寝ている子にも、なでなで。隣にいない人達にも、ひとりずつ、なでなで。