思春期という猫
手の甲に爪痕、ひっかき傷。
私の商売道具。
その猫をつかみあげた時、
恐怖か、または反抗の憎しみ一杯にその爪先はとがる。
私が育てた猫。
手の甲の血の跡を拭わず、いつまでも、消えるまで
私とその猫に見せ続ける。
手の甲の傷は、いつかうすくなっていくが、
爪によって傷ついた皮膚のそれは消えることはない。
猫は自分に抱え切れない不快感や痛みを他を傷つけることで
消化している。
が、いつもその陰湿さをより膨らませて抱えなければならなくなるのに。
子猫のうちに、もっとかわいがれたら、その爪は。
野良にはできないが、
裸足で飛び出す夜も追いかけはしない。
一匹で考える歳になった。
傷ついた手の甲を見るたび、その猫を育てた私を憎む悪循環。
- 作者: ジャックガントス,ニコールルーベル,Jack Gantos,Nicole Rubel,いしいももこ
- 出版社/メーカー: 童話館出版
- 発売日: 1995/01
- メディア: 大型本
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
私の猫に引っかかれたとき、開きたくなる絵本。
ほんとに猫だったら、どれほど気が楽か。