キツツキの穴

日々つついた穴を埋めたり、のぞいたり、もっと深く大きくしてゆく穴掘りメモ。

記念日の記憶

「記念日の記憶」という言葉を購読している毎日新聞の日曜日のエッセイの欄で見た。良い記念日、負の記念日いろいろあるだろうけれど、3月は震災もあったし、私にとっては特別な負の3月だ。2月の後半から助走のように調子が悪くなってくる。温かくなりだし…

卒業式

卒業式。帰り道、沈丁花のにおいがして反射的に「春よ来い」のメロディが耳元でなる。この一年学校行事も参観日もなく、母たちにとっても同窓会的な近況報告の場と化し、各々の子らの進学先に「おめでとう」とねぎらいの言葉を掛け合い、一段と背も体も大き…

春に向かって

2021年が始まって、ゆっくり前進していたはずがまた躓いて、そろりそろりと立ち上がりながらじわりじわりと安全確認しながら進むしかない。変更のない範囲で、日程は組まれた通り、粛々とこなされ、その日に向かっていくしかない。今年は年女で48になる。こ…

闇の共有

また長い時間フリーズしてしまった。長い時間かけて起こるべきことがイベントとして日常の中に起こり、家族の闇を露出させ、闇の形を記憶をたどりながら同じ場所にいた者同士で共有することができることはとても私を助けた。闇に慣れきっていること、他者に…

ムカデにかまれた時

ムカデにかまれた。初めてだった。右の薬指の先っちょを。きっと、2度目は死ぬかもしれないと思った。検索したら45度くらいのお湯をかけ流すと書いてあったらしい。そうしている間も痺れと、熱さと右腕から肩、右胸のジンジンする刺すような痛みと気道や喉の…

死を思う

彼がこの世界からいなくなってからもう2か月がたってしまったんだなと数えてしまう。終戦の日に放送されたドラマもやっぱりオンタイムでは観れなくて、木曜日の番組も録画したものを少し時間をおいてから観た。もうこの世界にはいないのだけれど、もうそれ以…

インスタのネガ  その一

インスタのネガその一。懐かしい友が、嫁ぎ先の地で自宅パン教室をしているというインスタを見て自粛期間中せっせとパンを焼いた。私も時間ができたし、子らは私のパンが好きだ。パンを発酵させてその柔らかな生地などその感触を楽しむ手をわすれない。焼き…

彼は猟師になった

ずいぶん前の深夜、ただだらだらと起きて自分一人の時間を無駄使いしていた。その深夜のNHKの「獣道」というTV番組で彼に再会した。過去に一瞬すれ違うほどに出会った。ずっと猟師を続けていること、ある大学で講義をしてるとか、母校で商品化されたカ…

薄れては戻ってくる悲しい

もうすぐ彼の訃報を知って一か月になろうとしているなんて信じられないが、彼に毎週会えた番組がとても好きだった。録画したその番組がまだ見れない。その番組内で特集されている内容も、美しい風景も、世界の素晴らしさも目に入らないことが想像できるから…

退屈という平和のなかで

コロナ禍という真っただ中にいる世界中の子の夏休みの私たちの生活は退屈という平和の中にある。学校や、塾や、仕事から帰ったら皆、すぐに着替えるかまたは入浴する。手洗い、消毒は当然で人の分布、密度を測って行動する。押しボタンはもう指で押すことは…

台所に立つこと

台所に立つことは好きだ。野菜を切る、千切りなんかとっても好きだ。パンを焼くことが好きだ。その発酵時間、決められた限られた時間で何かをすることも好き。ケーキを焼くのも同じくらい好き。パンにはベーカーズパーセンテージというものがあって、分量を…

台所の主導権

日暮れの時間が遅くなって、我が家の夕飯の時間はますます遅くなっている。理由はそれだけじゃないが。もともと母の夕飯の準備にかかる時間が遅い。メニューを決めるのも買い物に行くのも遅い。子供のころから遅かった。父の帰りが遅かったからか、父の帰り…

三月さん

三月書房さんが閉店するという記事を読んだ。購読する新聞で。20年になるか、髪を切ってもらっている美容師さんの店が以前寺町通にあった。友達の実家もあった。古本屋のようでそうでない新書の気になる本がいっぱい置いてある書店で、書店というよりやっぱ…

残している記事、響き震わす言葉

もう何年も前の別サイトのブログの記事において、誤った記載があること連絡をいただいた。根拠は何か、出典先はどこからで誰のものか。その頃の私も完全なる引きこもり状態で、社会とつながっているものは購読している新聞が主だった。たいていの気になる記…

膝の変身

ママが家にいるということは、毎日といわなくてもほぼ毎日フローリングやらの水拭きを一緒にやるという日課が子たちにももれなくついてくる。自粛中は毎回。土日祝日も毎回。一階をいくつかのパートの分けてそれぞれの担当を決めて。玄関に飾ったユリの花粉…

ラクダのポーズ

とぎれとぎれではあるがヨガの教室に通って、毎日のヨガ時間10分を日々の時間に取り入れて長い。10分をただ一つのポーズに集中したり、一連の動きを悩まずに済むよう体が覚えたものでないとただのストレッチのようになってしまう。まだ無心に過ごさせてくれ…

もう少し準備中

厚生労働省の職業情報サイトにアロマセラピストというその他サービスの職業として紹介され、確定申告の職業欄になんて書けばいいか悩まずに済むようになった。それまではサービス業とか接客業とか適当に書いていた。休養の質を高め、健康づくりを助ける美と…

インスタというポジ

最近インスタグラムを始めた。スマホに変えたことも理由にはある。一人の時間ができたこともある。家に居たことは大きい。写真を撮ることを積極的にしようと思っていた。何でもやってみなくちゃわからないという突発的飛び込み。まずインストールの後の設定…

もう子供たちは私に爪を切らせない。私の指は太くて短くて指先に向かってすぼまっていって、丸い爪がついている。自分では気に入っている。子らは私と同じ爪の形にされることを恐れていて嫌ってもいるんだろう。彼女らは細い指、四角い大きな爪が美しいと思…

黛を濃うせよ

黛を濃うせよ草は芳しき 松根東洋城購読している毎日新聞の季語刻々という俳句の欄にあった。眉を濃く書きなさい。若草のこの季節、濃い眉のあなたはまさに若草のような美しさ。という句だそう。素敵な句だなあと思った。太眉が流行りだそうだ。今もかはわか…

ポストまでは徒歩3分

スマートフォンに変えて、いくつかのアプリをインストールして、仕事の仲間内でも必要なのでLineも始めた。 必要連絡も、共有もできて便利だが、繋がりと、心許した間柄ゆえの「友だち」なのだろう。つながる手段は手に入れたが、やっぱりせっせと手紙を書い…

どこにいるのか

covid-19 毎日がその報道ばかり。家にいるとはいえ、もう感染していて潜伏期かもしれないし、まったくの無症状でいるだけかもしれないし、ちょっと鼻息が熱かったり、ちょっと鼻やのどの奥なんかがカ~っとする・・・なんて怖くなって体温を測ってみるとなん…

今とつながる

スマートフォンで写真を撮るときれいすぎてびっくりした。きれいに映りすぎてびっくりした。うまく撮れすぎてびっくりした。だけど、無性に草花を写生したくなった。20年ぶりくらいに、自分だけの時間を向き合うその植物とだけのために使った。シダの新芽…

遅ればせながら

4月になって、仕事の日数が減り、また緊急事態宣言によって自粛が積み重なっていくことを見越して遅ればせながらスマートフォンに変えた。PHSのおもちゃのような小さな軽い機種が気に入っていたので、不自由もしていなかったが、7月末までしか使えなくなる…

令和2年

去年の今日、子らと一泊の旅に出て、5月1日新しい元号になった。その旅の電車の中で、元号予想をした。みなの願いが一杯。私 立光長女 光新次女 美生どれも外れたけれど、その発表をアドベンチャーワールドのイルカショーの開演を待っているときに知った。…

従順

良くも悪くも言葉に対して従順だ。すぐお守りみたいに信じる。疑わず、その通りにしようとする。その言葉通りになっていく。そして、体や心に違和感を感じて「あれ、おかしいな。」と気づき始める。糸をたぐって、穴に手や顔を突っ込み、やめる、しないとい…

3か月目

小学生、中学生の子らが3月から外出自粛を始めて、巣ごもり生活を満喫している。 2か月目に入った4月はもうこの生活に慣れたもので登校するような時間には起きてくることはできないが、時間を決めて机に向かうことや、ダンスをして体を動かしたり、楽器を…

WE STAY HOME

子供たちが休校になて2か月目に入っている。最小限の買い物に、家族の誰か一人が出かける。家と外、家族とそれ以外の人、境界をはっきり感じる。長女中学3年生は、春休みや休校処置の場合大変だ~~と2月末には片っ端から通学可能な塾の体験入学に行かせ…

今日で8年

次女10歳。先日の彼女の誕生日、いつもは家族の誰かの誕生日には仕事を入れないのだけれどその日は帰りが8時をまわってしまった。帰ると「ママー、生まれて10歳と2時間ー、誕生日ー!!」と、自分が生まれたことをすごく喜んでいる。何日も前から、誕生日の…

いない時間

晴天の早朝、長女の3泊4日のスキー合宿のワクワクを見送った後、洗濯日和だというので布団からシーツをすべてひっ剥がし、パジャマやら部屋着やら、制服のブレザーやスカート、クッションや様々な布製品を洗濯していく。そうやって、帰ってきて、新しい日を…